カスハラシンポジウム東洋大学

日本カスタマーハラスメント対応協会

第1回公開シンポジウム(2022.3.20)


2022年3月20日 東洋大学において、公益財団法人セコム科学技術振興財団協賛・日本カスタマーハラスメント対応協会主催による公開シンポジウム「カスタマーハラスメントの学際的アプローチ その実態と対策」を行いました。


登壇者の略歴はこちらでご確認ください、各講演の要約は下に掲載しております。

※シンポジウムの映像は、有料会員向けCHAPSアーカイブで公開中です。


【プログラム】

▶︎ 基調講演

「心理学から見たカスタマーハラスメント」犯罪心理学者 桐生 正幸


▶︎ 第一部:消費者社会におけるカスタマーハラスメント

「相談窓口から見たカスタマーハラスメント」実務家(顧客対応)酒井 由香

「企業サイドから見たカスタマーハラスメント」企業経営(金融機関)窪田 博

「接客対応者から見たカスタマーハラスメント」労働組合(流通)安藤 賢太


▶︎ 第二部:行政、教育福祉分野におけるカスタマーハラスメント

<オンデマンド非公開の講演:ソーシャルワーカー>

「元校長が見る教育現場のカスタマーハラスメント」教育者・学校心理士 福田 晴一


▶︎ 第三部:カスタマーハラスメントの対策

「ポジティブメンタルヘルスから考える、カスタマーハラスメントの対応策」予防精神医学 島田恭子

「カスタマーハラスメントのもたらす経済損失の可視化について」コンサルタント・データサイエンティスト 宮中 大介


▶︎ 第四部 パネルディスカッション

・カスハラのKeyword

・社会へのアプローチ


桐生正幸
【基調講演】心理学から見たカスタマーハラスメント
東洋大学社会学部長 桐生 正幸

【要旨】

 2000年頃より日本において、カスタマーハラスメントが注目され始めた。清水(2009)は、消費者からの相談状況や内容の変化を調査したところ、2000年以前の苦情は、「接客態度やサービスなどに関するもの」であったのに対し、それ以降、「自己中心的な申し出」、「過剰、不当な要求」、「企業姿勢や社会的責任を問うもの」などが出てきたことを指摘している。以後、従業員への土下座強要事案など悪質な苦情行動が現れ、カスタマーハラスメントは大きな社会問題となってきた。しかしながら、この問題に対する学術的知見は未だ整理されておらず、体系的な研究も実施されていない。

 そこで、本基調講演では心理学の観点から、カスタマーハラスメント研究の推移を概観しつつ、この問題における従業員と企業との認識の違い、被害者視点と加害者視点の差異と特質などについて述べたい。そして、問題解決のために不可欠と考える多様な領域での協同作業について言及していきたい。

相談窓口から見たカスタマーハラスメント
株式会社G-NEXT CS推進室室長 酒井 由香

【要旨】

 ほんの一握りの、強いお申し出をされるカスタマーとのやり取りが顧客接点窓口担当者を疲弊させています。今回のシンポジウムでは、苦情とクレームの違いや、クレームに相対する時の心構えなどについて、お話しいたします。

 2020年に出版され編集に携わった書籍「グレークレームを“ありがとう”に変える応対術」の中から、窓口担当者と申し出者のかかわり方についても触れたいと考えています。

企業サイドから見たカスタマーハラスメント
企業経営(金融機関)窪田 博

【要旨】

 カスタマーハラスメント問題は接客をするあらゆる業種で、また、取引先や元受先がある業態でも少なからず発生していて、対応をしている現場当事者たちに重い負担となっている。一方で、カスハラ事案が現場内で埋没し、経営層に課題として挙がっていない企業が多いのも実情である。

 現場と経営層との認識乖離はどうして起きているのか? なぜ企業でカスハラ対策が進まないのか? その背景は何か?ポストコロナの消費者の行動や意識変化と相まって企業は顧客と深く向き合う経営戦略が不可欠となっている。

 この2月に厚労省から『カスタマーハラスメント企業対策マニュアル』や『啓発ポスター』が発表され、企業向けの周知や対策開始が期待されるが、さらに消費者(顧客)・企業・従業員の三者に最適解となる取組み提案を示したい。 

安藤賢太
接客対応者から見たカスタマーハラスメント
UAゼンセン流通部門 安藤 賢太

【要旨】

 接客対応者にとって、カスタマーハラスメントは重いストレスを感じる重大な問題です。シンポジウムでは、組合員を対象に実施したカスタマーハラスメント実態調査をもとに、労使関係における対策の課題を報告したいと思います。

 また、カスタマ―ハラスメントは、労働者や企業のみの問題ではなく、社会問題が色濃く反映している日本社会全体の問題だと認識しています。カスタマーハラスメント対策は、社会全体がそれぞれの役割を認識して取り組む必要があります。そのためには、社会全体で対策を推進するために必要な法整備についても意見を述べたいと思います 。

福田晴一
元校長が見るカスタマーハラスメント
教育者、学校心理士 福田 晴一

【要旨】

今、学校現場では一人一台端末の導入に伴い、オンライン授業や電子黒板と連動した授業形態が進められ、従来の一斉指導から大きく変わろうとしている。また、情報教育の必要性とともに、従来にないSNS等の指導対応も加わり、教員の対応すべき職務が増え続けている。発達の偏りと称される配慮を要する児童生徒への対応も然り

である。

 昨今の「働き方改革」のトレンドから、ようやく教員の負担軽減が注視されるようになったが、教員給与の特異性からなかなか現実味が帯びてこない。それ故、病気休職の教員も増える現状があり、結果「ブラック」と言われる教員への志望も減少傾向となっている。この危機的状態の要素には、保護者地域からの「理不尽な苦情」が特筆される。多様性を求められる学校現場、改めて学校におけるカスタマーハラスメントの課題感を発信したい。

島田恭子
ポジティブメンタルヘルスから考えるカスハラ対策
一般社団法人ココロバランス研究所代表理事 島田 恭子

【要旨】

 本発表では、カスタマーハラスメント対策について、従来の“疲弊した従業員のメンタルケア”という概念を超え、「組織の資産を守り育てる」という新しい枠組みを提示する。

 一部の従業員にとってカスハラが、彼らの心身の健康を脅かす非常に過酷なものであることが数々のデータから明らかになっている。

そのような体験を受けても、ある人は燃え尽き、ある人はそれでも前に進んでいける。その違いは何か?

 また、カスハラを含む従業員体験(EX)を通して、かれらが目指す形を“ワークエンゲイジメント”ととらえ、それが顧客体験(CX)の向上につながる道筋を提示する。組織の資産を増やすための、ポジティブアプローチを用いたカスハラ対策について、皆さんと考えてみたい。

宮中大介
カスタマーハラスメントがもたらす経済損失の可視化について
コンサルタント、データサイエンティスト
(株)ベター・オプションズ 代表取締役 宮中 大介

【要旨】

 近年カスタマーハラスメント対策の重要性の認知度が向上している。企業においてカスタマーハラスメント対策を行うには一定の予算確保が必要であるが、そのためにはカスタマーハラスメントによる経済損失の可視化が必要と考えられる。

 カスタマ―ハラスメントは従業員本人のみならず周囲の従業員や顧客にも影響し、その内容はメンタルヘルス不調のみならずモチベーション低下やブランド毀損等多岐にわたると考えられる。

 本発表では、ストレスチェック結果を活用して、カスタマ―ハラスメント経験がメンタルヘルス不調を通じて従業員本人の退職・休職に至る

経路に限定して各企業の経済損失を推計する方法を提案する。

パネルディスカッション

パネルディスカッション(前半)
「カスハラのKeywordとは」

パネルディスカッション前半では、「各登壇者の専門分野におけるカスタマーハラスメントのキーワード」についてフリップ・トークを行いました。


酒井氏:組織で対応

窪田氏:対岸の火事

安藤氏:法制化の実現

福田氏:背景理解

島田氏:3つのXとワンチーム

宮中氏:初手


さて、このキーワードの真意とは ! ?

パネルディスカッション
パネルディスカッション(後半)
「社会へのアプローチ」

パネルディスカッション後半では、「各登壇者の専門分野におけるカスタマーハラスメント抑止のために必要な社会への働きかけ」についてフリップトークを行いました。


酒井氏:お互いの協力を啓発

窪田氏:横連携

安藤氏:尊重される社会をつくる

福田氏:まずは…深呼吸

島田氏:スピルオーバー、クロスオーバー

宮中氏:道徳の更新


詳細は有料会員向けCHAPSアーカイブにて配信中です。

日本カスタマーハラスメント対応協会