仕切り直しのカスタマーハラスメント対策
リスクマネジメントToday Vol.132 特集「仕切り直しのカスタマーハラスメント対策」において、論稿「組織資産を増やすカスタマーハラスメント対策ーポジティブ・メンタルヘルスに着目してー」(当協会代表 島田恭子/東洋大学 桐生正幸教授)を掲載していただきました。
今日の企業におけるカスハラ対策の問題点について、本誌では以下のように指摘しています。
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パワハラ、セクハラがわずかだが減少している一方、顧客や取引先からの暴力、暴言、悪質なクレームなどのカスタマーハラスメント(カスハラ)については増加傾向が認められる。「お客様」と接することの多い流通やサービス業のみならず、役所や医療機関などでも、放火や殺人などの重大事件が発生している。そうしたモンスター顧客に対峙するのは、本来ならば従業員個人ではなく組織であるはずだが、現場任せにされるケースが少なくない。組織のリスク対応が、個人に投げられてしまっているのである。
(一般社団法人リスクマネジメント協会 RM情報誌紹介ページより引用)
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このような現状は、2022年3月の当協会シンポジウムにおいて、窪田博氏のご講演(「企業サイドから見たカスタマーハラスメントー企業とカスハラの迷宮ー」)でも問題提起をしていただいておりました。
厚労省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」公表を契機として、組織におけるさらなる取組が求められるなか、現場においてこれまで積み上がった課題の克服が不可欠になっています。
本誌は、企業におけるリスクマネジメントに軸足を置きながらも、実効性ある現場取組への示唆が得られる内容となっています。
組織と従業員の資源が重要な理由
カスハラ対策は接客対応のテクニカル面に偏りやすく、「組織の資源」と「従業員の資源」の全体像にまで、スコープを広げて取り組むケースは稀かもしれません。しかし、組織の資産に増やすことが、「カスハラ」へのネガティブな投資をポジティブな投資へ転換させる重要なポイントです。
これまでのカスハラ対策は対症療法的な側面が強く「仕切り直し」が必要となった現状を鑑みると、組織の資源を強化する抜本的な取組は極めて重要といえます。また、それによりカスハラに限らずさまざまなリスクへの対処が可能となるはずです。